「中層大規模木造 構造設計データ集」
公表にあたって
このたび、林野庁補助事業「平成24 年度地域材供給倍増事業(木材利用技術整備等支援事業)」において実施しました中層大規模木造設計情報整備委員会での成果を「中層大規模木造 構造設計データ集」として公表することとなりました。 本事業は、中層大規模木造の設計を担う設計者を対象に、汎用構造解析ソフトによる三次元解析モデルを用いて構造設計を行う場合に必要なデータを整理して提供することを目的としております。大規模な木造を普及させていくためには、現在は建物毎に特注となっている材料や接合部の仕様などをある程度汎用性のあるものに統一し、構造検証の負担を軽くすることが不可欠と考えています。また、従来、様々な形で実証実験が行われてきていましたが、その成果を構造設計に活かすためには、研究とは異なる視点での情報の整理や提供の方法が必要であることを痛感しておりました。このたび、本事業にてその機会を得ることができ、まずは第一段階として本書を整備したところです。
本書では、潜在ニーズが高いと思われる「事務所」や「商業施設」の用途・規模を対\象とした中層大規模木造を想定し、構造設計のポイントとなる、柱脚接合部、柱梁接合部、耐力壁、床の汎用性のある仕様について整備しております。
現段階では、仕様や材種、樹種について、まだまだ不足しておりますが、今後、様々な機会を活用し、これらのデータの充実を試みていくことを計画しております。また、現段階では、データが足りず詳細な判断が下せず、解説等が明快でない部分もございます。これらについても、順次検討を進めていく予定です。
これらのデータ整備は、一事業で行っていくのではなく、様々な開発や研究と連携を組み実施していくことが必要と考えています。本書をご覧の皆様にも、ご協力を頂く機会もあるかと思いますが、その節はご協力のほど、よろしくお願い致します。
本書の整備についての要望やご意見、ご提案などがありましたら、下記までお送り下さいますようよろしくお願い致します。本書の整備は、原則、委員を含む関係者のボランティアで実施しております。そのため、頂きましたご要望などを反映するには時間がかかる場合がございますがご容赦下さいますようお願い致します。
平成25年7月30日
中層大規模木造設計情報整備委員会
委員長 腰原幹雄
構造設計データ集 目次(PDFでご覧いただけます)
目次
1. はじめに
1.1 本設計データの目的
1.2 本設計データの前提条件
1.3 本設計データの構成
1.4 「データシート」の見方
1.4.1 「データシート」リスト(pp.28~32)
1.4.2 データシート(図1.3-2内の②参照)
1.4.3 使用シーンと注意事項
2.データ(木質材料)
2.1 データ(木質材料)について
2.2 構造用集成材
2.3 構造用単板積層材(LVL)
2.4 構造用合板
3.データ(部位)
3.1 接合具
●ラグスクリューボルト(LSB)
●構造用ビス
●木栓(シラカシ)
3.2 接合部
●LSB 柱脚接合部
●LSB 柱脚接合部(靭性確保)
●LSB 柱梁接合部(ト型)
●LSB 柱梁接合部(L型)
●合わせ柱梁接合部
●ブレース端部接合部
3.3 壁
●大壁:面材耐力壁
●ブレース耐力壁
3.4 床
●面材床
●ストレストスキンパネル床
●集成パネル床